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いつも同じところが同じように痛むのはなぜ?キーワードは「動作の多様性」

2025.12.17

こんにちは。

世田谷区奥沢、田園調布、自由が丘エリアのパーソナルトレーニングルーム併設鍼灸マッサージ治療院THE DiME (ザ ダイム)です。


「また腰の同じ場所が痛くなってきた……」

「肩こりが毎回、決まったポイントに出る」

このような経験はありませんか?

実はそれ、「体の使い方がいつも同じ」になっていることが原因かもしれません。

そこで大切になる考え方が、「動作の多様性」です。


動作の多様性とは?

簡単に言うと、「その場その場に合わせて、体の使い方を選び直せる力」のことです。

もう少し噛み砕くと、

・状況に応じて、違う動き方を選べる

・動いている途中で、細かく微調整ができる

こうした柔軟な能力をまとめて「動作の多様性」と呼びます。


なぜ「動作の多様性」が大切なのか?

人の体は、本来とても賢くできています。

同じ動作を繰り返していても、無意識のうちに

・少し力を入れる場所を変えたり

・使う筋肉を入れ替えたり

・姿勢をわずかに微調整したり

こうして、一部の組織だけに負担が集中しないよう、リスクを分散させているのです。

ところが、この「動きの選択肢」が少なくなってしまうと…

・毎回、同じ場所にばかり負担がかかる

・結果として、同じところがいつも痛くなる

という状態が起こりやすくなります。


なぜ、動作の多様性は失われてしまうのか?

「昔はもっと柔軟に動けていたはずなのに、なぜ選択肢が減ってしまうのか?」

そこには、現代人特有の理由があります。

1. 体の感覚(センサー)の鈍化

デスクワークなどで長時間同じ姿勢でいると、脳が自分の体の位置を正確に把握できなくなります。「今、腰がどうなっているか」という情報の解像度が下がることで、脳は安全策として「いつもと同じ、慣れた動き」しか選べなくなります。

2. 「痛み」による防衛反応(恐怖回避)

一度強い痛みを感じると、脳は「その場所を動かさないように」と指令を出します。これを代償動作と呼びます。痛みをかばう動きがクセになると、他の部位の動きまで制限され、結果として動きのバリエーションが極端に少なくなります。

3. 環境や習慣の固定化

毎日同じ靴を履き、同じカバンを同じ肩にかけ、同じ椅子に座る。生活環境が固定されると、体は新しい動きを学習する必要がなくなります。「使わない機能は失われる」という原則通り、動きの選択肢が削ぎ落とされていくのです。

4. 過剰な緊張と視野の狭さ

ストレスや疲れで体が緊張すると、関節の「遊び」が消えます。また、スマホの凝視などで視野が狭くなると、空間を把握する力が落ち、体は無意識に「固めて守る」モードに入ります。これが動きの柔軟性を奪う要因になります。


研究でわかった「痛みがある人」の共通点

実際の研究でも、興味深い結果が出ています。腰痛がある人とない人を対象に、同じ動作を繰り返してもらう実験を行ったところ、次のような違いが見られました。

・腰痛がある人:動きの幅が狭く、使い方がワンパターンで偏りやすい。

・腰痛がない人:毎回、わずかに違う使い方ができている。

つまり、「痛みがある人ほど、無意識のうちに動作の選択肢が減っている」と考えられているのです。


動作の多様性を取り戻すための3ステップ

では、どうすれば「賢く動ける体」を取り戻せるのでしょうか?

① 体の感覚を再起動する

鍼やマッサージなどで刺激を与え、脳に「ここに筋肉があるよ!」と教えてあげることで、体を感じやすくします。また、ゆっくりとした丁寧な動きを練習するのも効果的です。

低強度のピラティスなどがまさにそれにあたります。


② 過剰な緊張をリセットする

痛みがある部分だけでなく、全身を整えて「リラックスできる状態」を作ります。

呼吸エクササイズがそれにあたります。


③ 動きのバリエーションを増やす

いつもの運動に「遊び心」を加えてみましょう。

・角度を少し変えてみる

・スピードを変えてみる

・環境を変えてみる(たまには違う靴を履く、違う道を歩く)

   こうした「ちょっとした変化」が、脳を刺激し、動作の選択肢を増やしてくれます。


「辛くなったら整える」も大切。でも…

痛くなったらケアをする。これはもちろん大切な選択です。

ただ、それに加えて「日頃から体を動かし、動作の多様性を育てること」。

これが、慢性的な不調をループさせないための最大のポイントになります。

・同じところが痛むのは、「動作の偏り」のサイン

・痛みへの恐怖や環境の固定化が、多様性を奪う原因になる

・ケア・リラックス・小さな変化で、多様性は取り戻せる


慢性的な腰痛や体の不調に悩んでいる方は、
ぜひ一度「動作の多様性」という視点で、ご自身の体を見つめ直してみてくださいね。

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