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ギックリ腰を経験して見えた、体と脳の深い関係

2026.05.14

こんにちは。

世田谷区奥沢・自由が丘・田園調布エリアのパーソナルトレーニングルーム併設はり・きゅう・マッサージ治療院THE DiMEです。


いつもは「施術側」の私ですが、先日、人生最大級のギックリ腰をやってしまいました。

あの、ふっと腰の支えを失い、自分の体がコントロール不能になる感覚……。治療家としての知識がある分、自分の体で起きていることが客観的に把握でき、改めて「体の仕組み」の奥深さを痛感しました。
今回のギックリ腰に対し、機能神経学や行動心理学の観点からどう向き合い、どう対処したのか。

そのプロセスを記録として共有します。


1. ギックリ腰の引き金:体性感覚の乱れ

トレーニング終盤、いつも通りの重量が「異常に重く」感じた瞬間、腰が抜けました。

これは単なる筋肉の故障というより、「中枢(脳)と末端(筋肉・関節)」の連携がうまくいかず、コントロールを失った状態だったと考えています。

いわば、脳が把握している体の位置情報である「体性感覚」が乱れていたのです。
そんな不安定な状態で無理に力を入れようとしたことが引き金となり、脳が「これ以上は壊れる!」と判断して強力な危険信号を出した。
これが、あの激痛と硬直の正体です。


2. 翌朝の絶望と、四つ這いによる再教育

翌朝、腰はガチガチに固まり、寝返り一つ打てない状態。お手洗いに行くだけで、実に15分を要しました。

午前中は、呼吸エクササイズと、背骨周りを優しく動かす四つ這い(ヨツバイ)系の運動に徹しました。四つ這いは重力を分散しつつ、脊椎に「動いても安全だ」という信号を送り、乱れた体性感覚を整えるための優れたリハビリになります。

午後からは、リハビリがてら用心深く歩いてみました。歩行にリズムが出てくると、視覚やバランスを司る前庭覚が刺激され、脳の警戒レベルが少しずつ下がっていくのが手に取るように分かりました。

3. コルセットの功罪:拘束が招く代償の連鎖

仕事にあたる際、念のためコルセットを着用しましたが、ここでも大きな気づきがありました。

コルセットは物理的に腰部を安定させますが、一方で背骨の自然な可動を奪ってしまいます。

Cholewickiらの研究によれば、腰椎の動きを外部から過度に制限すると、体はその制限を補うために、本来動くべきではない胸椎や股関節周辺の筋肉を過剰に働かせる「代償動作」を引き起こすことが示唆されています。

実際に着用してみると、動作が制御されることで全身の滑らかな連鎖が失われ、結果として別の部位に無理な力みが生じるのを感じました。


4. 姿勢制御の要「内側前庭脊髄路」へのアプローチ

力みを取り除くには、無意識下の姿勢制御システムを再起動させる必要があります。そこで鍵となるのが「内側前庭脊髄路(ないそくぜんていせきずいろ)」です。

これは耳の奥のセンサー(前庭覚)からの情報を元に、体幹の深層筋を自動で調整し、背骨を安定させる神経の通り道です。就業後には、この経路を活性化させるために以下の刺激を行いました。

・視覚:目の動きで脳を活性化

・前庭覚:頭を傾け、傾斜信号を送る

・深い呼吸:横隔膜による体幹内圧の調整

これらにより、脳が「体幹の軸が安定した」と認識することで、外側の筋肉の過緊張を解くのが狙いです。


5. 楽観バイアスを味方につけたトレーニング再開

4日目、歩行のリズムが戻ってくると、不思議と「もう完治したんじゃないか?」という万能感に包まれました。

これは心理学でいう「楽観バイアス」です。

自分にとって都合の良い情報だけを拾い上げ、リスクを過小評価してしまう心の働きですが、今回はこのバイアスがあったからこそ、痛みの恐怖を乗り越えてトレーニングを再開することができました。

しかし、体性感覚が戻りきっていない中でのトレーニングは、やはり「無意識の緊張」を伴います。

翌朝は予想以上のガチガチ感に襲われ、脳が再び強力な危険信号を点灯させたことが分かりました。

ところが、面白いのはここからです。

筋肉の固まりは強かったものの、前日よりも体性感覚(体の動かしやすさや位置の把握)の戻りは格段に良かったのです。再び呼吸やマットピラティスなどの軽い運動を行うと、昨晩の緊張はスッと取れ、前日よりもさらに体が楽になるのを実感しました。


6. 自律神経と迷走神経、そして人体実験の意義

現在は、温熱療法や冷水シャワーを取り入れています。

これは自律神経の活性化、特にリラックスや炎症抑制に関わる「迷走神経」を刺激するためです。
自律神経が整い、脳と体の良好な対話が復活することで、痛みというアラートを解除していくプロセスです。

ギックリ腰は、脳がシステムを守ろうとして出したアラート。
今回の「攻めのリハビリ」を通じて、脳への適切な入力がいかに回復を早めるかを再確認できました。

この体を通じた検証結果を、日々の施術で皆さんに還元していきたいと思います。

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