しばらく様子を見たつもりが、ぎっくり腰のように・・・
2026.11.06
こんにちは!
世田谷区奥沢・大田区田園調布・目黒区自由が丘エリアの、はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME(ザ・ダイム)です。
今回は、強い腰痛で来院された方のお話をご紹介します。

突然のギックリ腰。どんな状態だったのか?
数日前から腰に違和感はあったものの、日常生活にはそれほど支障がなく過ごされていました。
ところが、床にある物を身体を捻りながら拾おうとした瞬間、いつもとは違う感覚があり、その直後から強い痛みが出てしまったそうです。
来院時には、身体を動かすことにも大きな制限があり、靴を揃えるのも困難なほど、、、。
・右から左への寝返りはできるけれど、左から右には動けない
・ズボンを履くときも、痛みを警戒しながら恐る恐る
・左の股関節の外側から太ももにかけても、痛みのような違和感がある
かなり日常生活に支障が出ている状態でした。
今回、私が特に注目したのは、左右の動作によって痛みの出方が大きく違っていたことです。
痛みの原因を探るために身体をチェック
身体の状態を確認すると、左側の腸腰筋と多裂筋に強い緊張がみられました。
まずは、それぞれの筋肉について簡単に説明します。
腸腰筋(ちょうようきん)
腰の骨から股関節の前側につながり、脚を持ち上げるときに働く筋肉です。
歩くときや階段を上るときにも使われます。実はそれだけでなく、左右の腸腰筋が協力して働くことで、腰や骨盤を安定させる役割もあるんです。
多裂筋(たれつきん)
背骨のすぐ近くにある小さな筋肉です。背骨の細かな動きをコントロールし、腰を安定させるために働いています。
今回、もう一つ興味深かったのが、股関節を曲げる動作での痛みでした。
右脚を持ち上げると左腰に痛みが出るのに、左脚を持ち上げても痛みはありません。
一般的には、右脚を持ち上げて痛みが出れば、右側の腸腰筋に問題があるのでは?と考えがちです。
しかし、今回は違いました。
腸腰筋は左右が協力して働くため、右脚を持ち上げる動作でも、反対側の筋肉が腰を安定させるために働くことがあります。
今回は、痛みが出ている側と、アプローチが必要な筋肉の側は同じではないということです。
さらに、左股関節の外側から太ももにかけての違和感にも注目。
この周辺には、大腿外側皮神経(太ももの外側の皮膚感覚を伝える神経)が走っています。
今回は、その神経が走る領域にも症状が出ていたため、周辺の筋肉や組織との関係も考えながら施術を進めることにしました。
トリガーポイント鍼療法で筋肉にアプローチ
今回は、左側の腸腰筋や多裂筋を中心に、触察(手で筋肉の状態や緊張、痛みを確認すること)を行いながら、トリガーポイント鍼療法を実施しました。
※トリガーポイントとは、筋肉の中にできる過敏なポイントのことです。押すと痛みが出たり、離れた場所に痛みや違和感が広がったりすることもあります。
こうした筋肉の状態を確認しながら、必要な場所に鍼でアプローチしていきます。
施術の後に動作確認をしていただきましたが、今回は鍼療法だけでは、まだ動作時の痛みが残っていました。
それも想定内!
そこで、もう一歩踏み込んで、身体の左右差や神経系の働きにも着目したエクササイズを追加することに。
機能神経学的アプローチ|脳幹・小脳・大脳への刺激
脳機能を活性化することで、右半身の活動を促しながら、左半身の過剰な緊張を抑えることを狙う。
特に注目したのが、脳幹にある網様体(もうようたい)です。
網様体とは?
網様体は、脳幹の内部に広がる神経細胞のネットワークです。
姿勢を保ったり、筋肉の緊張を調整したり、身体の動きや覚醒状態をコントロールしたりと、普段あまり意識することのない重要な働きを担っています。
橋・延髄網様体というエリアへの刺激を意識したエクササイズを処方。
具体的には、
右小脳への刺激 → 左大脳皮質への働きかけ → 左PMRFの活動を促す
という神経系の左右のつながりを考慮したアプローチです。
※PMRFとは、橋・延髄網様体のうち、姿勢や筋肉の緊張調整に関係する領域のことです。
小脳から大脳へ向かう神経経路には左右を交差する仕組みがあり、右小脳への刺激は左側の大脳皮質の活動にも関係しています。
こうした神経系のつながりを考えながら、右半身の活動を促し、左半身の筋緊張を調整することを目指しました。
エクササイズ後の変化|右脚を持ち上げても痛くない!
鍼療法とエクササイズを終えた後、最初に痛みが出ていた動作をもう一度確認しました。
すると、施術前には右脚を持ち上げると左腰に痛みが出ていたのに、今度は痛みなく動かせるようになっていました。
今回の症例では、筋肉への鍼療法に加えて、神経系へのアプローチも組み合わせたことで、動作に変化がみられました。
もちろん、今回の変化が特定の神経経路への刺激だけによるものとは言い切れません。
ただ、筋肉だけでなく、脳幹・小脳・大脳といった神経系の働きも含めて身体を考えることの大切さを、改めて感じる症例でした。
痛みがなくなったら、それで終わりではありません
施術後は動きが改善しましたが、実は来週末にテニスの試合を控えているとのこと。
試合前にしっかり整えておきたいものです。
日常生活で動けるようになることと、テニスのように素早く動いたり、身体を捻ったりするスポーツに対応できることは、また別の話。
そのため、翌週も身体の状態や動作を確認しながら、試合に向けてケアを続けることになりました。
私たちが大切にしているのは、その場の痛みを和らげることだけではなく
・なぜその動作で痛みが出るのか?
・どの筋肉が関係しているのか?
・神経系の働きや身体全体の協調性に問題はないか?
こうした疑問を一つずつ確認しながら、その方に必要な施術やエクササイズを組み立てて再発防止に努めること。
THE DiMEでは、トリガーポイント鍼療法に加え、今回のように機能神経学や感覚運動科学の考え方を取り入れ、
必要に応じて呼吸エクササイズやムーブメントエクササイズ、ピラティスなども組み合わせながら、身体全体を多角的にサポートしています。
痛みが出ている場所だけを見るのではなく、身体全体のつながりや動作を確認することが大切です。
ギックリ腰や慢性的な腰痛でお悩みの方も、痛い場所だけにとらわれず、一度ご自身の身体の状態を見直してみませんか?
日常生活への復帰はもちろん、その先にあるスポーツやパフォーマンスの向上まで、一人ひとりの目標に合わせてサポートしています。
《この記事の監修者》
小井手 智啓(こいで ともひろ)
はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME 院長
学生時代より鍼灸接骨院や整形外科にてスポーツ外傷の鑑別・施術を学ぶ。国家資格取得後は病院勤務を経て、トリガーポイント専門の鍼灸院にて5年間臨床経験を積む。2013年世田谷区奥沢に「はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME」を開業。
2016年には朝日新聞出版より『さする&伸ばすで痛みを解消 筋膜ストレッチ』を監修。当時主流だったフォームローラーなどで患部に強い圧をかける手法とは一線を画し、優しく触れる・伸ばす(ズラす)アプローチによる独自の筋膜リリースを発信。
2023年には院内にトレーニングルームを併設し、運動療法を本格的に導入。一般の患者様からトップアスリートまで幅広く動きの改善をサポートしている。院内での施術の他、後進の育成や講師活動にも精力的に取り組む。
世田谷区奥沢・大田区田園調布・目黒区自由が丘エリアの、はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME(ザ・ダイム)です。
今回は、強い腰痛で来院された方のお話をご紹介します。

突然のギックリ腰。どんな状態だったのか?
数日前から腰に違和感はあったものの、日常生活にはそれほど支障がなく過ごされていました。
ところが、床にある物を身体を捻りながら拾おうとした瞬間、いつもとは違う感覚があり、その直後から強い痛みが出てしまったそうです。
来院時には、身体を動かすことにも大きな制限があり、靴を揃えるのも困難なほど、、、。
・右から左への寝返りはできるけれど、左から右には動けない
・ズボンを履くときも、痛みを警戒しながら恐る恐る
・左の股関節の外側から太ももにかけても、痛みのような違和感がある
かなり日常生活に支障が出ている状態でした。
今回、私が特に注目したのは、左右の動作によって痛みの出方が大きく違っていたことです。
痛みの原因を探るために身体をチェック
身体の状態を確認すると、左側の腸腰筋と多裂筋に強い緊張がみられました。
まずは、それぞれの筋肉について簡単に説明します。
腸腰筋(ちょうようきん)
腰の骨から股関節の前側につながり、脚を持ち上げるときに働く筋肉です。
歩くときや階段を上るときにも使われます。実はそれだけでなく、左右の腸腰筋が協力して働くことで、腰や骨盤を安定させる役割もあるんです。
多裂筋(たれつきん)
背骨のすぐ近くにある小さな筋肉です。背骨の細かな動きをコントロールし、腰を安定させるために働いています。
今回、もう一つ興味深かったのが、股関節を曲げる動作での痛みでした。
右脚を持ち上げると左腰に痛みが出るのに、左脚を持ち上げても痛みはありません。
一般的には、右脚を持ち上げて痛みが出れば、右側の腸腰筋に問題があるのでは?と考えがちです。
しかし、今回は違いました。
腸腰筋は左右が協力して働くため、右脚を持ち上げる動作でも、反対側の筋肉が腰を安定させるために働くことがあります。
今回は、痛みが出ている側と、アプローチが必要な筋肉の側は同じではないということです。
さらに、左股関節の外側から太ももにかけての違和感にも注目。
この周辺には、大腿外側皮神経(太ももの外側の皮膚感覚を伝える神経)が走っています。
今回は、その神経が走る領域にも症状が出ていたため、周辺の筋肉や組織との関係も考えながら施術を進めることにしました。
トリガーポイント鍼療法で筋肉にアプローチ
今回は、左側の腸腰筋や多裂筋を中心に、触察(手で筋肉の状態や緊張、痛みを確認すること)を行いながら、トリガーポイント鍼療法を実施しました。
※トリガーポイントとは、筋肉の中にできる過敏なポイントのことです。押すと痛みが出たり、離れた場所に痛みや違和感が広がったりすることもあります。
こうした筋肉の状態を確認しながら、必要な場所に鍼でアプローチしていきます。
施術の後に動作確認をしていただきましたが、今回は鍼療法だけでは、まだ動作時の痛みが残っていました。
それも想定内!
そこで、もう一歩踏み込んで、身体の左右差や神経系の働きにも着目したエクササイズを追加することに。
機能神経学的アプローチ|脳幹・小脳・大脳への刺激
脳機能を活性化することで、右半身の活動を促しながら、左半身の過剰な緊張を抑えることを狙う。
特に注目したのが、脳幹にある網様体(もうようたい)です。
網様体とは?
網様体は、脳幹の内部に広がる神経細胞のネットワークです。
姿勢を保ったり、筋肉の緊張を調整したり、身体の動きや覚醒状態をコントロールしたりと、普段あまり意識することのない重要な働きを担っています。
橋・延髄網様体というエリアへの刺激を意識したエクササイズを処方。
具体的には、
右小脳への刺激 → 左大脳皮質への働きかけ → 左PMRFの活動を促す
という神経系の左右のつながりを考慮したアプローチです。
※PMRFとは、橋・延髄網様体のうち、姿勢や筋肉の緊張調整に関係する領域のことです。
小脳から大脳へ向かう神経経路には左右を交差する仕組みがあり、右小脳への刺激は左側の大脳皮質の活動にも関係しています。
こうした神経系のつながりを考えながら、右半身の活動を促し、左半身の筋緊張を調整することを目指しました。
エクササイズ後の変化|右脚を持ち上げても痛くない!
鍼療法とエクササイズを終えた後、最初に痛みが出ていた動作をもう一度確認しました。
すると、施術前には右脚を持ち上げると左腰に痛みが出ていたのに、今度は痛みなく動かせるようになっていました。
今回の症例では、筋肉への鍼療法に加えて、神経系へのアプローチも組み合わせたことで、動作に変化がみられました。
もちろん、今回の変化が特定の神経経路への刺激だけによるものとは言い切れません。
ただ、筋肉だけでなく、脳幹・小脳・大脳といった神経系の働きも含めて身体を考えることの大切さを、改めて感じる症例でした。
痛みがなくなったら、それで終わりではありません
施術後は動きが改善しましたが、実は来週末にテニスの試合を控えているとのこと。
試合前にしっかり整えておきたいものです。
日常生活で動けるようになることと、テニスのように素早く動いたり、身体を捻ったりするスポーツに対応できることは、また別の話。
そのため、翌週も身体の状態や動作を確認しながら、試合に向けてケアを続けることになりました。
私たちが大切にしているのは、その場の痛みを和らげることだけではなく
・なぜその動作で痛みが出るのか?
・どの筋肉が関係しているのか?
・神経系の働きや身体全体の協調性に問題はないか?
こうした疑問を一つずつ確認しながら、その方に必要な施術やエクササイズを組み立てて再発防止に努めること。
THE DiMEでは、トリガーポイント鍼療法に加え、今回のように機能神経学や感覚運動科学の考え方を取り入れ、
必要に応じて呼吸エクササイズやムーブメントエクササイズ、ピラティスなども組み合わせながら、身体全体を多角的にサポートしています。
痛みが出ている場所だけを見るのではなく、身体全体のつながりや動作を確認することが大切です。
ギックリ腰や慢性的な腰痛でお悩みの方も、痛い場所だけにとらわれず、一度ご自身の身体の状態を見直してみませんか?
日常生活への復帰はもちろん、その先にあるスポーツやパフォーマンスの向上まで、一人ひとりの目標に合わせてサポートしています。
《この記事の監修者》
小井手 智啓(こいで ともひろ)
はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME 院長
学生時代より鍼灸接骨院や整形外科にてスポーツ外傷の鑑別・施術を学ぶ。国家資格取得後は病院勤務を経て、トリガーポイント専門の鍼灸院にて5年間臨床経験を積む。2013年世田谷区奥沢に「はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME」を開業。
2016年には朝日新聞出版より『さする&伸ばすで痛みを解消 筋膜ストレッチ』を監修。当時主流だったフォームローラーなどで患部に強い圧をかける手法とは一線を画し、優しく触れる・伸ばす(ズラす)アプローチによる独自の筋膜リリースを発信。
2023年には院内にトレーニングルームを併設し、運動療法を本格的に導入。一般の患者様からトップアスリートまで幅広く動きの改善をサポートしている。院内での施術の他、後進の育成や講師活動にも精力的に取り組む。